市場が高精度・高性能なモーター制御技術を追求し続ける中、キーコンポーネントとしたレゾルバは、角度位置と回転速度を正確に測定能力が特に重要です。
しかし、昔からレゾルバ駆動回路の特殊な要件が、業界発展の技術的なボトルネックとなっています。この課題を解決するために、NOVOSENSEは回路設計を簡素化し、システムの堅牢性を向上させるよう設計された新しいオペアンプNSOPA240xシリーズをこのほど発表し、レゾルバ・アプリケーションに革新的なソリューションを提供します。
レゾルバは電磁センサとして、産業用モーター制御、サーボ、ロボット、EV車やハイブリッド車のパワートレインユニットなど、幅広い用途で角度位置や回転速度を正確に測定できます。特に電気自動車では、レゾルバはモーター制御アルゴリズムに正確で安定した位置情報を提供することができ、これは幅広い走行条件下でEV車の望ましい性能を確保するために不可欠です。独自の動作原理により、回転子の角度と速度をリアルタイムで正確にフィードバックし、EV車のモーター制御アルゴリズムが電流出力を正確に調整させ、スムーズな走行と瞬時応答を実現します。また、レゾルバは高温耐性、システムがシンプルで高信頼性、コンパクトなサイズ、低コストなどの利点があるため、EV車のコンパクトな設計要件に適合し、全体的なコストを削減することができる。
実際の応用において、レゾルバの駆動回路の設計は複数の課題に直面しています。まず、レゾルバに安定した励起信号を確保するために、大電流出力と高スイングレートという要求を満たす必要があり、次に、とシステムのロバスト性向上も技術者にとって重要な課題です。また、複雑なノイズ環境や厳しい安全要件も、さらなる設計にとって困難を生み出します。
NOVOSENSEの NSOPA240x高電流出力オペアンプは、その優れた高利得帯域幅とスルーレート、及び連続大出力電流駆動機能は、レゾルバの一次コイルから低歪曲と差分高振幅駆動に対する厳しい要件を満たしています。さらに、NSOPA240xはサーマルシャットダウンと過電流保護を内蔵しており、回路設計の最適化とシステムコストの削減だけでなく、システム全体の信頼性と性能を大幅に向上させます。
NSOPA240xシリーズは、車載グレードのAEC-Q100 グレード1の信頼性要件を満たし、-40~125℃の過酷な環境下でも動作可能です。下表に示すように、シングルチャネルのTO252-5パッケージ、デュアルチャネルのHTSSOP14パッケージに対応し、顧客のさまざまなニーズに応えるため、異なるチャネルバージョンを提供しています。
大電流出力能力 - あらゆるレゾルバの一次側コイル駆動に対応
出力電流能力と出力スイングは、パワーアンプの駆動能力を示す最も重要な指標の1つであり、負荷電流と出力スイングの関係は、駆動オペアンプの散逸電力を直接決定します。レゾルバの励磁一次側コイルは、通常100Ω以下と非常に低いDCR(直流抵抗)を持つため、コイルを駆動するためには最大200mAという大電流出力能力が必要となる。NSOPA240xは、最大400mAの連続出力電流に対応し、あらゆるレゾルバドライブの要求に応えます。
高出力スルーレート‐一次コイル励磁信号の歪みを防止
スルーレートは、オペアンプのダイナミック・レスポンスにとって最も重要な性能指標の1つであり、歪みのない正弦波信号の最低条件は以下の式で示される:
異なるタイプのレゾルバでは、励起信号の振幅と周波数の要件が異なります。7Vrms、10kHzの励起信号を例にして、上式の結果から、歪みがないことを保証するために必要な最小電圧スイングレートは約0.6V/μsです。スルーレート5.5V/μsのNSOPA240xは、レゾルバドライブのほとんどのアプリケーションのニーズを満たします。
統合された電流制限保護、過熱保護‐レゾルバの信頼性を向上させ、複雑さとコストを削減
レゾルバの一次側駆動で数百mAの電力レベルの場合、完璧な保護対策を施すことが重要です。そうでなければ、過熱などの原因でシステムに深刻な脅威が発生し、焼損することさえあります。NSOPA240xにはサーマルシャットダウン保護機能を内蔵しており、チップのジャンクション温度が173℃を超えると、デバイスがオフにされ、OTF/SH_DNステータスによりサーマルシャットダウンの発生を示します。繰り返し発生を防ぐため、過熱シャットダウン機能には温度ヒステリシスがあり、ジャンクション温度が155℃まで下がらないとデバイスは再イネーブルになりません。OTF/SH_DNピンの状態も変化し、サーマルシャットダウンイベントが停止したことを示します。
下の図に示すように、NSOPA240xは、顧客のシステムレベルの機能安全を提供することができ、同時に電源への短絡と接地への短絡を示すこともできます。
これに加えて、過電流は上部管又は下部管に検出される可能性があるため、チップ内の各オペアンプは、電流制限によってPMOS(ハイサイド)とNMOS(ローサイド)の出力トランジスタを保護しています。また、2つの専用ピン(図の赤枠に示す)を設置しており、上部の過電流と下部の過電流を区別し、それぞれ対地短絡と給電電圧の短絡の応用に対応できます。出力電流が正常値に戻ると、インジケータピンが同期してリリースされるため、ISO16750規格で規定されているような短絡試験に容易に対応することができます。